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卵巣がん 卵巣腫瘍

卵巣がん・卵巣腫瘍

卵巣がん

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卵巣腫瘍

卵巣腫瘍とは

卵巣に腫瘍が発生する頻度は、女性の全生涯でみると5~7%とされる。排卵回数と遺伝因子が関連する。

人間の体を構成する総元の臓器であるため、きわめて多種類の腫瘍が発生するが、その起源により、

① 表層上皮性・間質性腫瘍(surface epithelial stromal tumors)
② 性索間質性腫瘍(sex cord/stromal tumors)
③ 胚細胞腫瘍(germ cell tumors)

の大きく3群に分類され、各々の全体に占める割合は、①60~70% ②5~10% ③15~20%です。

3群それぞれに、良性、境界悪性、悪性腫瘍が存在する。

①に関しては排卵による卵巣被膜の傷が修復される過程で癌化がおこると言われており、初経年齢が早く、閉経年齢が遅く、妊娠、出産回数が少ない人にリスクがあるが、ピル服用で、排卵を抑制するとリスクが減ることが知られており、ピルの普及国では卵巣癌の罹患率が減少している。

さらに、卵巣は他臓器癌の転移の好発部位であり、転移性腫瘍も重要であり、全体の5%を占める。こられに加えて、真の腫瘍ではない類腫瘍性病変が存在する。多種多様な卵巣腫瘍が、それぞれ特徴的な臨床所見、画像診断上の特徴、及び、異なる腫瘍マーカーのパターンを示すため、これらを詳細に検討することにより術前診断がほぼ可能で、治療計画もたてられる。

10~20歳代では胚細胞腫瘍が多く、上皮性悪性腫瘍は少ないが、その後、上皮性悪性腫瘍が増加し、40~50歳代で増加する。50歳代前半でピークを迎え、その後横ばいとなり70歳代で再度上昇する。

卵巣腫瘍 症状

無症状のことが多い。しばしば検診で偶然発見される。腫瘤の増大に伴い、

・下腹部痛
・圧迫感
・新生児頭大以上になると骨盤空を越え、自ら下腹部腫瘤として触れる
・巨大な腫瘤や多量の腹水貯留を伴う場合は下腹部膨満感を訴える
・良性腫瘍は茎捻転を起こすことが多く、急性腹症として緊急開腹術が必要
・性索間質性腫瘍の多くはエストロゲン産生腫瘍であり、不正性器出血、無月経、思春期早発などのが起こる
・稀に、卵巣線維腫などで腹水や胸水を伴う例(Meigs症候群)もある 

卵巣腫瘍 診断  

~画像診断と腫瘍マーカー~ 

① 超音波検査

卵巣腫瘍の良悪性の鑑別には腫瘤が嚢胞性(良性)か充実性(悪性)かが重要で、その鑑別に有用充実性(かたまり)部分と嚢胞性部分が混在する場合や全体が充実性の場合などでは悪性腫瘍や境界悪性腫瘍を疑う。

カラードップラー法により充実部の血流を見ることも悪性の補助診断に役立つ年齢が上がるにつれ充実性腫瘍が増加し、特に50歳以上では約6割が充実性です。 

② MRI検査

腫瘤内部に貯留しているものの性質(漿液、粘液、脂肪、古い血液など) 

③腫瘍マーカー

良悪性、組織型の推定に使用する。

◎上記検査で、良性、悪性の判断をある程度できるが、最終的には手術で摘出した腫瘍 の病理組織検査によって診断が確定する。

 

卵巣腫瘍の種類と診断所見の特徴

1) 表層上皮性・間質性腫瘍

卵巣表層上皮およびそれに由来する上皮から発生する腫瘍卵巣悪性腫瘍の90%以上は、上皮性・間質性腫瘍(上皮性卵巣癌)が占める。

それらは40~50歳代に多く発症。ピークは50歳代前半の閉経頃。

a) 漿液性腫瘍

漿液性腫瘍は卵巣表層上皮が卵管上皮への分化を示す腫瘍群。漿液性嚢胞腺腫には卵管と同様に線毛細胞が観察される。

単房性嚢胞性腫瘤のことが多く、内壁も卵管壁に似てしばしば乳頭状構造を呈する。

・超音波検査で嚢胞の壁が薄く、充実性部分を認めない場合、充実部が小さく少数の場合も良性の嚢胞腺腫のことが多い
・径2cm以下の小さな充実部分が多数認められる場合は境界悪性          
・壁全体が肥厚し、粗造なものや内部に大きな充実部を認める場合は腺癌を疑う
・MRI:嚢胞内容が水と同じ信号パターン
・腫瘍マーカー:CA125が重要で、良性では上昇は認めず、軽度上昇の場合は境界悪性200U/mlを越える高値では腺癌のことが多い。

b) 粘液性腫瘍 

表層上皮が子宮頸管腺上皮あるいは腸管上皮への分化を示す腫瘍群。粘液産生性の上皮細胞で構成される。

・超音波検査:多房性嚢胞性腫瘤であること多い
・MRI検査:嚢胞の各房で信号が異なるという特徴的所見が認められる
・腫瘍マーカー:CA19-9が重要で、良性腺腫では上昇しない上昇し、小さな嚢胞の集合像を認める場合は境界悪性腫瘍明らかな充実部が存在する場合は腺癌のことが多い。

c)類内膜腫瘍および明細胞腫瘍

良性腫瘍はきわめて稀。多くは線維腺腫の形態をとり、術後病理診断により境界悪性および悪性腫瘍と区別される。

2)性索間質性腫瘍

多くはホルモン産生腫瘍

・ 莢膜細胞腫:エストロゲン産生する良性腫瘍。不正性器出血、無月経、思春期早発などの症状が出る。高齢女性で膣壁がみずみずしく、年齢に比し、若々しい場合エストロゲン産生卵巣腫瘍の存在を疑う。

嚢胞性成分の乏しい比較的小さな充実性腫瘤

・ 線維腫:充実性腫瘤。ホルモン産生に乏しく、大きな腫瘤を形成することもある。
・ 顆粒膜細胞腫は境界性悪性腫瘍、セルトリ・間質細胞腫瘍(低分化型)は悪性腫瘍。

3)胚細胞腫瘍

10~20歳代の若年女性に多い。

最も多いのが成熟嚢胞性奇形腫。茎捻転を起こしやすいが、検診で偶然発見される事も多い。未熟奇形腫(悪性)は全奇形腫の3%。成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は40歳以上に多く1~2%にみられ、長径6cm未満でも手術を勧める。

悪性腫瘍でも化学療法がよく効くので、妊娠・出産も可能なこともある。

・超音波検査:嚢胞性だが内部に皮膚組織、毛髪、脂肪、軟骨、骨などの成分から多彩な像を呈する。(高輝度エコーなど)
・MRI検査:脂肪成分の存在
・腫瘍マーカー:CA19-9軽度上昇

4)類腫瘍病変

卵巣の機能性嚢胞。卵巣の内分泌的活動の中で見られ、経過観察にて縮小する。

時に大きく、超音波所見での内部エコーも複雑で真性腫瘍と誤診する場合もある。

・更年期機能性出血時
・妊娠初期の黄体嚢胞(片側性HCGの刺激による)
・絨毛疾患時の多発性黄体化卵巣嚢胞(黄体化過剰反応)で稀に正常妊娠においても出現する。両側性で拡張したここの嚢胞の大きさが揃った黄体化卵巣嚢胞が多数見られ、一見、多房性嚢胞性腫瘤のため粘液性腺腫と誤診され、開腹術がなされることもあり、注意。注射での排卵誘発でみられる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)も同様の所見を呈する。
・子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)

超音波検査:砂粒状内部エコー像MRI;血液貯留腫瘍マーカー:CA125,CA19-9の軽度上昇0.7%の頻度で癌化する。(超音波で充実部の出現。4cm以上で、40歳以上では摘出を考慮する) 

5)転移性卵巣腫瘍

胃がんや大腸癌の転移。

卵巣腫瘍 治療方法

① 経過観察および保存的治療(良性のみ)

類腫瘍病変が疑われるときは基本的に経過観察チョコレート嚢腫は内膜症参照腫瘍病変の可能性があるが5cm径未満の小さな嚢胞性腫瘤で充実性部分が無いときは経過観察し、増大傾向や充実性部分が出現すれば手術する。

② 手術療法

類腫瘍以外の真性の卵巣腫瘍は手術療法を行い、組織学的な確定診断を得る必要がある。開腹時の腹水細胞診、術中迅速組織診を行う。腹腔鏡下手術も行われるようになってきている。

良性腫瘍

卵巣腫瘍核出術、卵巣摘出術、付属器摘出術を行う。

術式の選択には、患者の年齢、腫瘍の大きさ、周囲との癒着などで決定。妊孕性温存を要する若年女性では、原則として卵巣腫瘍核出術を行う。残存卵巣組織にも多数の卵胞が存在しており、できるだけ残すことが必要。

茎捻転時でも全体が壊死している場合は付属器摘出術を行わざるを得ないが、捻転を解除できる場合は、腫瘍核出術とする。

境界悪性腫瘍

子宮、両側卵巣・卵管、大網(胃と大腸の間の膜)切除

悪性腫瘍

境界悪性腫瘍の手術に加えてリンパ節の摘出や腫瘍の広がりよって腸管や腹膜などの合併切除が必要となる。

臨床進行期分類(病変の解剖学的な広がり)が治療の指針となる。術前の開腹評価(staging laparotomy)であり、手術進行期とは根本的に異なる。基本術式(両側付属器切除術+単純子宮全摘出術+大網切除術)に腹腔細胞診・腹腔内各所の生検・後腹膜リンパ節(骨盤・傍大動脈)郭清(または生検)が含まれ、卵巣癌であることの組織学的確認、病変の広がりの検索と進行期決定、可及的腫瘍摘出の3点が目的となる。日本では、FIGO進行期分類とTMN分類を採用している。

開腹して、卵巣腫瘍を摘出し、骨盤、腹腔内の疑わしい箇所の組織学的検査、胸水、腹水に関して、細胞学的診断が必要。肺や肝臓の転移には画像も必要。消化器からの転移や浸潤が疑われるときは上部・下部消化管精査が必要。

臨床進行期分類
Ⅰ期 卵巣内限局発育
ⅠA期 腫瘍が1側の卵巣に限局し、癌性腹水(-) 被膜への浸潤や破綻(-)
ⅠB期 腫瘍が両側卵巣に限局し、癌性腹水(-) 被膜浸潤、破綻(-)
ⅠC期 腫瘍は1側または両側の卵巣に限局するが、被膜表面への浸潤、被膜破綻を認めたり、腹水、洗浄液細胞診に悪性細胞+
Ⅱ期 腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤内への進展あり
Ⅲ期 腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤外の腹膜播種あるいは後腹膜または、鼠径部のリンパ節転移がある。
また腫瘍は小骨盤腔に限局しているが小腸や大網に組織学的転移や、 肝表面へ転移があるもの
Ⅳ期 腫瘍が1側または両側卵巣に存在し、遠隔転移を伴うもの

Ⅰ期、ⅠA期の場合は境界悪性や悪性腫瘍でも挙児希望の場合は、健常側の卵巣・卵管や子宮を温存することが可能な場合がある。

③化学療法

悪性の場合、腫瘍の種類や広がりにより、術後の抗がん剤投与の必要性や種類が決まる。

組織型がgradeⅠ(高分化型)のStageⅠa,b期の場合のみ術後、化学療法は行わず経過観察とする。

・上皮性
・間質性腫瘍(上皮性卵巣癌。卵巣悪性腫瘍の90%以上)術後化学療法はタキサン製剤(パクリタキセルなど)とプラチナ製剤(カルボプラチンなど)を用いることが一般的。3~4週間間隔で、3~8コース行う。術後化学療法を受けた場合の5年生存率はⅠ期(卵巣に限局)約90%Ⅱ期(骨盤内臓器に限局)で約70%、それ以上に進行しているⅢ~Ⅳ期約30%。最近はベバシズマブという新しい種類の薬剤(分子標的治療薬)が従来の化学療法に併用出来るようになり、生存率の向上が期待される。
・悪性胚細胞腫瘍術後シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンという3種類の抗がん剤が用いられることが一般的。この治療で悪性胚細胞腫瘍の予後は以前より飛躍的に改善されたが、腫瘍の進行が早く、できるだけ早期に治療を開始する必要がある。

術後の再発

治療後2年以内の再発が多い。日本婦人科学会のガイドラインでは治療後2年以内は1~3ヶ月、3~5年目は3~6ヶ月、それ以降は12ヶ月ごとの経過観察が奨められている。 内診を中心とした診察、腫瘍マーカー検査(CA125)を推奨している。

CA125は再発の早期発見に有用で、再発例の80%で陽性を示す。6〜12ヶ月ごとの胸部x-pとCT検査が望ましいとされている

CA125上昇の場合、CT検査で再発所見が見られない場合はPETが有用との報告もある。

卵巣腫瘍 予防

① 経口避妊薬服用:排卵にともなう被膜の傷から悪性上皮性卵巣腫瘍が発症するといわれており、排卵を抑制する為。

② 癌化の可能性がある、良性腫瘍の根治術(内膜症性卵巣嚢腫、皮様嚢腫)卵巣腫瘍は予防や早期発見が難しい腫瘍で、早期発見、死亡率低下に有効な確立された検査方法は無い。 

③ 遺伝素因のある可能性がある人は定期的に検査を受ける自身に乳がん、子宮体がん、大腸癌などの既往、血縁の人に既往がある場合は定期的に検査を受ける。

a.リンチ症候群

遺伝性大腸がんのひとつである、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん:Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer:HNPCC)は大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる疾患です。

全大腸がんの2-5%程度がリンチ症候群(HNPCC)と考えられ、最も頻度が高い遺伝性腫瘍の一つとされている。大腸がんの若年発症、異時性あるいは同時性の大腸多発がん及び多臓器がんの発症が特徴的。平均発症年齢は43~45歳。リンチ症候群の遺伝子変異を持つ人では、約80%が生涯の間に大腸癌を発症する。

女性では、20~60%が生涯に子宮内膜がん(子宮体がん)を発症。必ずしも他の血縁者と同様の症状を示すわけでは無く、遺伝子変異を持っていても生涯発症しない場合もある。 

b.遺伝性乳癌・卵巣癌症候群

乳がんや卵巣癌になりやすい遺伝子を持った人がいて、家族性に罹患する。

卵巣癌は日本人では82人に1人が罹患すると言われている。一般に家族歴がある人は卵巣癌に3~10倍罹患しやすく、さらにこの疾患遺伝子を持っている人は、8~60倍罹患しやすいと言われている。

④ PMS,月経不順、不妊症などの疾患がある、食の欧米化、肥満、喫煙、高血圧、糖尿病などの生活習慣病もリスクを上げると言われている。

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